シャウト「姉さんが結婚して、家を出て行った次の日。オレは、タンスの中に一通の手紙を見つけた」
チアフル(手紙)「シャウトへ」
シャウト「姉さんの手紙に間違いない。そう思って、オレは急いでそれを開いた」
チアフル「あなたがこの手紙を読んでいる頃には、私はすでにその家にはいないでしょう」
シャウト「事実は事実だけど、微妙に不吉な書き方すんなよ……」
チアフル「私は、シャウトが赤ん坊の頃から、ずっとシャウトのことを見てきました」
シャウト「姉さん……」
チアフル「赤ん坊の頃のあなたの周りには、野良イムに囲まれて元気に育ちましたね」
シャウト「なんで!?」
チアフル「きっと、よっぽどおいしそうな匂いがしていたのでしょう」
シャウト「食われそうだったのかよ!」
チアフル「子供の頃のシャウトは、気は強くても力は弱い子でしたね」
シャウト「……確かに、そうだったよなぁ」
チアフル「他の子供たちにいじめられて、泣きながら帰ってきたことも何度もありました」
シャウト「あったあった……それで、強くなりたいって思うようになったんだよな」
チアフル「その泣き顔がかわいくて、また明日もいじめられないかな、と思ったものです」
シャウト「姉さん……弟の不幸を祈るなよ!?」
チアフル「そんな子供時代もあっという間に過ぎ去り、気がつけばいつの間にかシャウトも大人になっていましたね」
シャウト「…………」
チアフル「あなたがガアチウルグに入ったと聞いて、心底がっかりしました」
シャウト「姉さん……ガアチウルグ嫌い!? でも姉さんもガアチウルグだったよね!?」
チアフル「でも、私の祈りが天に通じたのか、あなたは全然邪魔くさい石ころを持って帰ってきませんでしたよね」
シャウト「姉さん……オレが仕事しないように祈ってたのか!? ってか、家にある石ころはほとんど姉さんが持ってきたものだと思ったけど!?」
チアフル「正直に告白します。できることなら、ずっとシャウトと一緒に暮らしていたかった……」
シャウト「ね、姉さん……ひょっとして、オレのこと……?」
チアフル「でも、もうお別れですね。私がいなくなっても、しっかり訓練して、強い男になって下さいね」
シャウト「姉さん……」
チアフル「もう二度と会えないと思いますが、私は、いつまでもシャウトの幸せを祈っています」
シャウト「もう二度と会えないって!? ってか、いつまでもも何も、最初はオレの幸せとは正反対のことを祈ってたよね!?」
チアフル「12年間あなたのことを見てきた、タンスの奥のカイモドキより」
シャウト「って、姉さんじゃなかったのかよっ!!」