☆どくなみに きけん☆
〜 29 手料理 〜

チアフル「……はぁ……困ったなぁ」

ラウド「そこのあなた。失礼ですが、何やらお困りのようですね」

チアフル「えっ? どうしてわかったの?」

ラウド困ったなぁって言ってましたから。 一体何があったのか、よければ聞かせてもらえませんか?」

チアフル「実は、今好きな人がいるんだけど、その人が『結婚するなら、料理の得意な人がいいな』って」

ラウド「なるほど。それなら私ですね

チアフル「あなたは男でしょ? その人はノーマルだから

ラウドノーマルな女の人じゃないんですか?

チアフルあたしもノーマルだから。あたしってそんな風に見られてたの?」

ラウド「いえ、ただの希望的観測です

チアフル変な希望をもつのはやめてほしいんだけど。それはそうと、あなた料理得意なの?」

ラウド「ええ。何を隠そう、『料理の怪人』とは私のことですから

チアフル全然聞いたことないな。それに、『鉄人』ならともかく、『怪人』はあんまりいいイメージないよね?

ラウド「どっちかというと、『どくいり きけん たべたら しぬで』って感じですよね」

チアフル21面相? って、食べたら死ぬよう料理じゃ困るんだけど」

ラウド「まあ、『死ぬほどおいしい』ということで納得していただければと」

チアフルうまいこと言うのね。でも、その前に思いっきり『どくいり きけん』って言ってなかった?

ラウド「ほんの言葉のあやですよ」

チアフルそういう物騒な言葉のあやはやめてほしいなぁ

ラウド「まあまあ。それより、よろしければ、私がとっておきの料理をお教えしましょうか?」

チアフル「いいの? それじゃ、お願いしようかな。反面教師くらいにはなりそうだし

ラウド全然信用してませんね?

チアフルここまでの言動が怪しすぎるんだもの。まあ、本当に料理が得意なら、実力で信用を勝ち取ってよね」

ラウド「わかりました。では、まず材料ですが、新鮮なカイモドキとマルムル茸をいくつか用意してください」

チアフル「カイモドキ? それって食べられない魚じゃなかった?」

ラウド「一般的にはそう思われていますが、実はちゃんと調理すれば食べられるんですよ」

チアフル「ああ、毒のある部分を念入りに取り除いたりするのね。で、味の方はどうなの?」

ラウド「それが、おいしくておいしくて。もう、『たべたら しぬで』って感じですよ

チアフル「それ、きっと『どくいり きけん』だよね?

ラウド「まあ、『死ぬほどおいしい』ということで納得していただければと」

チアフルさっきも全く同じこと言ってたよね? 二度目はくどいよ?」

ラウド「まあまあ。で、実際の調理法ですが、まずカイモドキは角を切り落とします」

チアフル「確か、角の先に毒があるんだったよね」

ラウド「で、切った角の方を使いますから、残りは海に返してあげて下さい

チアフル二ついっぺんはツッコミにくいから、ボケは一度に一つにしてもらいたかったんだけど?

ラウド「そして、マルムル茸の方は、根の部分を、生で使います」

チアフル「あれ? でも、マルムル茸の根って確か毒があるんじゃなかった?」

ラウド『毒も過ぎれば薬となる』って言うじゃないですか」

チアフル「『薬も過ぎれば毒となる』とは言うけど、毒は過ぎてもせいぜい猛毒になるだけだと思うよ?

ラウド「間違えました。『毒を盛って毒で殺す』でしたっけ

チアフル話の流れから考えると、『毒をもって毒を制す』だよね?

ラウド「そう、それですそれ。で、この二つをよく潰して、混ぜて、練って固めれば出来上がり、と」

チアフル「あれ? これ、どこかで見たような……?」

ラウド「ええ。スピリットの訓練に使えますよ」

チアフル「あ、やっぱり。へぇ、こうやって作られてたんだ」

ラウド明日には葬儀が行われますから

チアフルって、モソムルじゃないし! やっぱり猛毒だし!! そもそもプルトのお葬式はスピリットの訓練にならないし!!!

ラウド三ついっぺんはますますツッコミづらいし!

チアフルわかってるならやらないでよっ!!


名前から察するに、カビチはカボイ根+ヴィチ、ワパヌヌはワパフサ草+ヌヌギ(くさいもの同士)、んでモソムルはモソ(カイモドキの毒)+マルムル茸なんじゃないかと。
ちなみに、お葬式でスピリットの経験値が稼げたのはオルルドでの話で、プルトでは残念ながら不可能となっています。


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